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珪藻土とはなにか?その起源と驚くべき特徴を徹底解説!
近頃では少し良いめの壁仕上材として認知されている珪藻土ですが、皆さん珪藻土がそもそも何で出来ているかご存知でしょうか。
珪藻土という名前を知っておられる方でも、珪藻土がどんなものなのか説明できる方は少ないのではないでしょうか。
『土』という感じがついているだけに、種類が違う土だと思われている場合もあります。
正直、珪藻土を施工する左官さんにも『珪藻土って土だろ』って結構思われてます。
大半が岩から削り出した粉なので、間違ってはいないのですが・・・・。
今回はそんな『そもそも珪藻土って何なのよ』という疑問について、掘り下げていきたいと思います。
珪藻土とは
ズバリ、結論から入ります。
珪藻土というのは珪藻という植物プランクトンの殻が海や湖の底にたまって出来た堆積物(岩もしくは岩を砕いた粉末)です。
こんなやつです。
(画像はhttps://biologywise.com/diatoms-factsより引用)
珪藻の最も大きな特徴は二酸化ケイ素(ガラス質)の殻をもつことです。
この殻が珪藻土の原材料となります。
ここで大事なのは、あくまでも植物プランクトンの殻であって、中身ではないということです。
珪藻土は珪藻という植物プランクトンの殻です。
珪藻という植物プランクトンは、世界中の海や川・湖にしていますが目に見える大きさではありません。
しかし、小さい頃に川遊びをしていて石や岩が茶色の藻でヌルヌルしていたこと、なかったでしょうか。
そのヌルヌルの正体が珪藻です。
他の植物プランクトンと比較して種類が多く、水の存在するところであれば場所を問わず生息するため、世界各地で産出されています。
珪藻は熱帯から極地まで、至る所に生育し、特に温度の低い海では大量に繁殖します。
大量の植物プランクトンを求めてオキアミなどの動物プランクトンが集まり、さらにその動物プランクトンを求めてクジラが北極付近に集まる、、
なんだかNHKやナショナルジオグラフィックで特集されてそうな光景ですね。
珪藻土の産地
世界各地で産出する珪藻土ですが、日本でも産出されており、北海道、石川県、秋田県、岡山県、大分県、鹿児島県などが日本国内における主な産地です。
石川県がある能登半島では、粘土を多く含んだ珪藻土が産出されるため、その性質を利用した七輪や断熱レンガが有名です。
また、多孔質な物性を持つことから、濾過材としてビールや醤油の製造にも利用されています。
珪藻土は超多孔質材料
珪藻土は非常に多孔質な材料として知られています。
写真の様な感じで、珪藻土を構成する珪藻のひとつひとつに無数の孔が空いています。種類は違えど、どの珪藻も孔だらけです。
無数の孔が空いていることにより、表面積が非常に大きくなり、空気とふれる部分が増えます。(もしくは、重量当たりの空気の内増量が増える。)
稚内珪藻土という特別に孔が細かい珪藻土を除いて珪藻土の重量比表面積(重さに対する表面積の割合)は20(m2/g)ほどです。
(個別の研究資料を見る限り、諸説あります。)
つまり、珪藻土1グラムあたり、表面積が20㎡あるということです。
これは他の一般建材からすれば驚異的な数字です。
試しに少し計算してみます。
8帖の部屋の4面を珪藻土で仕上げた場合の珪藻土の表面積
8帖の部屋の4面を珪藻土で仕上げた場合を想定します。
3.64m(辺1)×3.64m(辺2)×2.3m(天井高)の8帖間で掃き出し窓 (1.69m×2.03m)と腰窓(1.69m×0.97m)がついていると想定すると、
壁の総面積(㎡)は
3.64×2.3×4面-1.69×2.03-1.69×0.97=28.42(㎡)
1㎡あたり1kgの珪藻土(実質珪藻土含有率50%)とすると、
1㎡を塗るのに使用する純粋な珪藻土の重さは、
1000×0.5=500(g/㎡)
よって想定した8帖間における珪藻土の表面積は
28.42×500×20=284200(㎡)
少し現実離れした面積ですが、おおよそ東京ドームの建築面積が46755㎡ですので、
東京ドーム約6個分です。
いやいや、自分で試算していて二度見しました。
この桁外れの表面積こそが、珪藻土の特徴である調湿性能や消臭性・耐火性を生み出しているのでしょう。
まとめ
さて、今回の記事の内容をまとめると、
- 珪藻土は二酸化ケイ素(ガラス質)の殻をもつ植物プランクトンの堆積したもの
- 世界各地で産出されており、日本では北海道、石川県、秋田県、岡山県、大分県、鹿児島県が主な産地
- 珪藻土の粒のひとつひとつには無数の孔があいている
- 珪藻土を8帖間の壁に塗った場合、その表面積は東京ドーム6個分
という事ですが、いやはや珪藻の孔の空き具合が半端ないってことは分かりました。